男の靴雑誌LAST

Features

issue_9

Sutor

コラボレーションの可能性。

ストール・マンテラッシと竹ヶ原敏之介の邂逅が実現したのは
名優のイメージを具体化した、ゴージャスでソリッドな一足だった。

photographs_Toru Oshima, Stefano Triulzi
text_Miki Tanaka

カーフ&クロコのコンビオックスフォード。ハンドのパーフォレーションが施された重厚なアッパーとバランスをとるため、ヒール部にはエッジをつけている。▷€3.950,00

カーフ&クロコのコンビオックスフォード。ハンドのパーフォレーションが施された重厚なアッパーとバランスをとるため、ヒール部にはエッジをつけている。▷€3.950,00

ストール・マンテラッシ「MM」と

竹ヶ原敏之介。

CEO、アントン・マニャーニ氏に聞く。

 ロサンゼルスのチャイニーズシアター前にある「ウォーク・オブ・フェーム」。選ばれた著名スターたちの足形、手形が延々と並ぶ、〝スターの殿堂〟とも言われる長い歩道で、世界中に知られる有名スポットだ。ここに50年前の1965年2月8日、イタリアを代表する俳優、マルチェロ・マストロヤンニが足形を残した。彼のお気に入りのストール・マンテラッシの靴で。
 それを記念して、今年、ストール・マンテラッシはマストロヤンニに捧げるオマージュともいえるプロジェクトを発表した。ジャスティン・ダーキン、バッサム・フェローズ、スコット・シューマン、竹ケ原敏之介、トーマス・アーバーといった5組のクリエーターたちがマストロヤンニに思いを馳せながらデザインをし、50足のみつくられるエクスクルーシブライン「MM」だ。ジャスティン・ダーキンや竹ケ原敏之介のような靴デザイナーもいれば、他の3人のように靴以外の分野のクリエーターたちもいる。
 そんなユニークなプロジェクトを進めた新CEO、アントン・マニャーニ氏はこんな風に語る。「最前線で活躍する今の時代の様々なタイプのクリエーターたちが、マストロヤンニをどんな風に自分なりに表現するのかに興味がありました。ですので、マストロヤンニの当時の写真などの資料を提供した以外は特別な縛りを与えず、それぞれの個性を生かして自由に靴をデザインしてもらいました。5人のクリエーターたちはお互いには会ったことも話し合うこともなかったのですが、不思議なことに彼らが作った作品たちの間に、なんとなく共通点のあるマストロヤンニとのダイアローグが生まれていて、シリーズとしても完成度の高いものになっていると思います」
 それぞれがパッションと愛を持って最高のものを作ったと評価するが、アントン氏が個人的に気に入ったのはやはり竹ケ原氏の作品だったという。デザイナーを選ぶにあたり、靴文化や良質なものに対する深い理解とセンスを持つ日本人デザイナーはメンバーに加えたいと考えていたが、そこですぐ浮かんだのが竹ケ原氏だった。
「竹ケ原氏はディテールやマテリアルへのケアや質を理解するセンスがあり、欧米で生まれた靴文化やその歴史を日本の文化に結びつけて、日本的な美しさに昇華するのが実にうまい。そしてその仕事ぶりは細かく丁寧で、すべてにとてもケアがなされています。そんな彼の繊細な仕事ぶりは、その人となりから来ているのかもしれませんね。彼は絶対表に出たがらないタイプのとても控えめな人間で、今回もカタログ用のポートレートを撮るだけで一苦労でした(笑)。でもそれはまるで〝技で自分を出す〟、と言っているかのようで、私はそんな彼の人間性も好きなのです」
 今後もストール・マンテラッシの輝かしい100年の歴史の中で積み重ねてきたアーカイブを武器に、また他の様々なプロジェクトをやりたいと考えているマニャーニ氏。そしてそんな際にはまたいつか竹ケ原氏と組みたいと熱いラブコールを送る。

今回の「MM」プロジェクトの仕掛け人、アントン・マニャーニCEO。

今回の「MM」プロジェクトの仕掛け人、アントン・マニャーニCEO。

左/今回の「MM」プロジェクトでは竹ヶ原氏のほか4名のクリエイターが、各50足限定で靴をプロデュースしている。写真はショールームの様子。
右/マルチェロ・マストロヤンニの木型と竹ヶ原氏のモデル。

左/今回の「MM」プロジェクトでは竹ヶ原氏のほか4名のクリエイターが、各50足限定で靴をプロデュースしている。写真はショールームの様子。
右/マルチェロ・マストロヤンニの木型と竹ヶ原氏のモデル。

シューズデザナー竹ヶ原敏之介氏。

シューズデザナー竹ヶ原敏之介氏。

竹ヶ原敏之介と、ストール・マンテラッシ「MM」。

 最初にストール・マンテラッシの社長から連絡を受けたのは、2年以上前のことでした。「何か一緒にやりたいから、お互いに考えよう」と。そこで、ストール・マンテラッシの伝統や生産背景を活かした、自分ならではの靴づくりはできないかと考えていました。そして今回、マルチェロ・マストロヤンニがオーダーした木型をもとにした靴の企画「MM」で、お声がけいただいたのです。マストロヤンニといえば『8 1/2』や『甘い生活』ですが、それらの映画などから、前衛的で、モノトーン、そして質素だけれどもゴージャス感がある、そんなイメージを持っていました。そこで色はブラックに絞って、レッド・カーペットにも通用するゴージャス感を備えた、クラシックなエドワードブーツを靴にしたようなスタイルを考えたのです。その一方で、イタリア的な、どこか毒々しい派手さも盛り込みたいと、ヴァンプにはハンドワークによるパンチングを施し、さらにクロコダイルをコンビ使いにしています。また「M」のモチーフがキャップやタンなど随所に隠れています。デザイン上は日本人らしさのようなものはあえて出さず、仕様の細かさが日本人の繊細さに繋がるようにしています。
information contact ギャラリー・オブ・オーセンティック tel.03-5412-6908
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About LAST

LASTとは?

すべての紳士たちに向けた靴の専門誌です。こだわりを持つ男にとって、装いの要ともいえる靴を取り上げ、国内外の取材を織り交ぜながら、靴そのものの魅力と、靴を軸としたメンズスタイルの奥深い世界を紹介します。世界唯一の靴専門誌として、クオリティの高いヴィジュアルと、深い知識を備えた文章で、成熟した知性にとっても満足をもたらす誌面を追求していきます。タイトルの『LAST(ラスト)』は 、靴をつくる際に必要である木型(靴型)に由来します。